「温暖化への対応は人類の主要課題」 ガブリエル大臣寄稿

我々は、ドイツをはじめヨーロッパにおいて、温暖化政策全般について、またいかに温暖化を防止し、いかに温暖化とその影響を緩和できるかについて、私個人を含め長年考えてきました。温暖化の問題には、私自身すでに環境大臣や経済大臣在任時、積極的に取り組んできましたが、外務大臣となった今も常に考えさせられるテーマです。

我々はすでに今日、地球温暖化が外交・安全保障政策にもたらす莫大な影響を目の当たりにしています。最近訪問したソマリア及びエチオピアにおいて、飢饉がどれほど強く地域の安定に影響しているか、痛感させられました。多くの場合、事の発端となるのは、水であったり、その地域で唯一まだ何とか耕作可能なちっぽけな農地だったりします。以前から続いている内戦や紛争は、難民を発生させる典型的な原因となってきましたが、温暖化は、人々が故郷を逃れ難民化するさらなる要因になりつつあります。

昨年は、異常気象等、気候関連の災害が原因で難民化した人々の数だけでも、2400万人ちかくにのぼりました。ですから、温暖化政策は人類の主要課題だと私は確信しています。

そのためドイツとしては、持続可能なエネルギーの拡充を推し進めることにより温室効果ガス削減に向けた持続可能な解決策やイノベーションを目指しています。温暖化対策として有効な取り組みは、我々の経済システムの持続的強化にもつながるため、産業政策としても重要な役割を果たすと確信しています。

ただし、国内に限った取り組みだけでは不十分です。それゆえ我々は、今後の方向性を決める場となった第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21・2015年パリ開催)を控えた地ならしとして、また、日独両国が議長国を務めた2015年及び2016年のG7首脳会合の場において、温暖化問題について国際社会全体が納得しうる合意に向けての取り組みを進めたわけです。パリのCOP21で、地球規模の協定で合意できたことは、国際法の勝利であるともいえます。パリ協定の成果は、まさに国際社会を今世紀半ばまでに低炭素社会へと導いていく歴史的チャンスであると我々は捉えています。

これは環境保護の視点からも必要不可欠であり経済的な合理性にも合致します。特に化石燃料の輸入依存度を最小限に抑えるためにも重要です。

また、外交も決定的な責任を担っています。なぜなら、最終的にある地域全体の平和や安全を脅かすことにもつながるリスク要因は、無数にあるからです。たとえば、枯渇しつつある資源をめぐる競争の激化、農業等における収入源の喪失、越境河川をめぐる衝突、また洪水や進行する海面上昇による広大な土地の喪失などです。これらを背景に、ある地域全体が不安定化することを防ぐため、我々は国家や社会の強靭性をしっかり高めていかなければなりません。

だからこそ、欧州連合や、世界各地の友好国・パートナーが、このテーマに重点的に取組むのはよいことです。昨年日本がG7の議長国を務めた際、日本政府は、統合的なリスク評価の問題を中心に据えました。紛争や緊迫した事態が温暖化によってどこでどのように悪化しうるのかについて分析能力を上げていかなければ、世界各地において、的確に未然防止型の対処を行っていくことは不可能です。

具体的な例を挙げますと、チャド湖における気候変動のリスクが、地域の過激化やテロの拡大等をもたらしうる脅威乗数としてますます事態を悪化させていくような展開をいかにすれば回避できるかを、現在日本とともに模索しています。

ここでは災害対策、気候変動への適応策のみならず、緊急人道支援も含め、総合的な対応が必要です。また、当該地域の住民に、試練を真に乗り越える展望を与え、行動の選択肢を提供できるための投資が必要です。

この点に関し一致団結した取組みが進んでいることに、大変勇気づけられます。協力なくして、気候変動における大転換の実現はないのです。